経済投資のためには、まず自己投資をしなくてはいけないことを前回学びました。投資の順序を理解して、知識やスキルが身についていないと必ず失敗してしまいます。自己投資はした方が良いのではなく、しなければならないのです。
現在の日本ではこう言われています。
- 給料は上がらない
- 3年以内に大リストラ時代が来る
この2つは事実ベースに基づいて語られています。これらの大きな課題から、自己投資を必ずしなけらばならない理由を学んでいきたいと思います。week25は前編と後編に分けて記事にしていきます。今回のweek25前編では「給料が上がらない理由」を日本の経済状況から考えていきます。
国も企業もすでに通告しています。あなたが学んで行動しなければ給料も上がっていきませんし、リストラされます。そんな時代はすでに始まっています。
この記事から学べること ・GDPとは ・インフレとデフレ ・日本の経済状況 ・給料が上がらないカラクリ |
目次
GDPとは
GDPという言葉はニュースや新聞からよく耳にする言葉だと思いますが、これは簡単に言うと日本が儲けたお金のことです。
投資や個人の消費で儲けたお金は民需といって民間の儲け、政府の支出や貿易による収支は国の儲けになります。
そしてGDPでよく語られるのは、実質GDPと名目GDPです。GDPで経済を把握するときにこれらの理解は必須です。
国単位だと理解しづらいので、分かりやすい駄菓子屋のガリガリ君を例にして理解していきます。
2000年は1つ60円(税別)でガリガリ君が1万個売れて売上が60万円、2019年には1つ70円(税別)でガリガリ君が1万個売れて売上が70万円だったとします。
時代によって物価は上がったり下がったりしていきます。ガリガリ君の場合は10円物価が上がっています。
名目GDPとは物価の変動を含めないものです。このガリガリ君の場合名目GDPは2000年には60万円で2019年には70万円になります。
そして実質GDPは物価の変動を含めないものです。この場合はどちらも60万円になります。物価が変動してもガリガリ君が売れる数は1万個と実質的な購買行動は変わらりません。
- 名目GDP=金額
- 実質GDP=数
金額と数の違いとなりますが、経済を見るときに指標になるのは実質GDPです。この実質GDPから経済成長率を出していきます。
2つの時期を比べてどれだけ経済が成長したのかは次のように求めます。
(今年のGDP−指定年のGDP)÷指定年のGDP×100 |
2000年と2019年の実質GDPを比べるとどちらも60%です。
(60万−60万)÷60万×100=0 |
このガリガリ君を打った駄菓子屋は経済的に成長していないということになります。
実質GDPの成長率
日本の実質GDPの成長率を世界の国々と比べてみると日本は中国やインドに抜かれています。先進国と途上国の差はどんどんなくなってきています。
1人あたりのGDP
国単位でのGDPに続いて、1人あたりのGDPを見ていきます。
1988年2位だった日本は30年後の2018年には26位となっています。最先端国日本がこれだけ順位が落ちてきてしまっている原因はなんでしょう。
その1つの大きな原因は、少子高齢化にです。年金受給引き上げによる定年雇用努力、外国人労働者の増加があると言われています。
国は年金や社会保障を高齢者に保証できないと言っています。そして年金受給年齢の引き上げによって企業に「引き上がった70歳の定年まで面倒みてください」と言っています。そのため企業はおじいちゃんおばあちゃんを安い給料で雇っています。
また、外国人労働者も企業は安い賃金で雇っています。安い人件費で働く人がいると給料が上がりません。給料が低いと消費に回すお金が減るので国や企業は儲かりません。よってGDPは下がっていっています。
日本は中国にも一気に抜かれてドイツやインドにもすぐに抜かれると言われています。これからもGDPが下がっていくと言われているのは、少子高齢化の問題があるからです。
インフレとデフレ
インフレとデフレという言葉も経済の話題の時によく耳にする言葉です。それぞれの状態はどのようなものかを見ていきましょう。
インフレかデフレかデフレかを考える時にGDPデフレーターという指標があります。これは名目GDPを実質GDPで割った数値のことです。
名目GDP÷実質GDP=GDPデフレーター |
先ほどのガリガリ君の数値に当てはめて考えると、名目GDPの70万÷実質GDPの60万で1.16となります。
70万÷60万=1.16 |
GDPデフレーターが1以上でインフレ、1以下でデフレになります。
1以上=インフレ(物価が上昇=円安) 1以下=デフレ(物価が下落=円高) |
ここからガリガリ君を売っている駄菓子屋はインフレの状態という事がわかります。
インフレで物価が上昇すると、円の価値は下がります。60円のガリガリ君が70円になると、持っていた60円では買えなくなっているので円の価値は下がったことになります。
それとは逆にデフレでは円の価値は上がります。ガリガリ君がもし30円になったら60円で2つ買う事ができるので。円の価値が上がったことになります。
インフレ物価高→円安 デフレ物価安→円高 |
この2つの言葉は押さえておきましょう!
日本はインフレ?デフレ?
日本がインフレかデフレかを考えていくためには、上の式に日本の名目GDPと実質GDPを入れていくだけです。(2019年4〜6月期のデータ)
名目GDP 556兆5260億円 実質GDP 540兆2330億円 |
名目GDPを実質GDPで割るとおよそ1.03となりインフレであることがわかります。
安倍前総理が就任当初、デフレ脱却のために金融政策を行いインフレへと導いていきました。
インフレになっているという事は、所得が上がって消費が上がって物価の価値が上がって景気が良くなってきているということ…です。
しかし!インフレの仕組みをここで一度考えてみます。
売上が上がり株価が上がり従業員の給料が上がり消費が上がります。このような流れがインフレで物の価値が上がる景気の良い状態です。
日経平均(日本の上場企業の選抜メンバー)の2012年末と2019年末を比べてみると1万円から2万3千円くらいになっていて、約2.3倍になっています。これは株の価値が上がっていて景気が良くなっていることを証明しています。
しかし、インフレとは売上が増え株価が上がり給料が上がり消費が増えることです。皆さんの給料は上がりましたか?
上がっていない人がほとんどですよね、、。
本当にこの状態をインフレと言えるのでしょうか。給料の増減で次に考えてみます。
2001年から2018年の間で日本人の給料はマイナスになっています。おかしいですよね。株価が上がっていて会社は儲かっているはずなのに社員の給料が上がらない。
「なんで給料あげないんだよ!」と怒りを持っている人も多いはずです。
しかし、企業側からすると従業員の給料をあげられないのです、それは怖いからなのです。
このカラクリを見ていきます。
国の自作自演
このカラクリは、誰が株を買ったのかを見ると分かってきます。株価は多く株が買われたら上がり、多く売られたらその分下がります。
実は、日経平均の株を多く買って株価を上げていたのは国なのです。
日銀という日本のお金を刷っている中央銀行が上場企業の株を大量買い(27兆円以上)していました。日銀の半分以上の株は日本政府が持っているので実質、国が上場企業の株を買い占めて株価を上げインフレになっているように見せかけていたのです。
そして日銀は毎年上場企業の株を6兆円買うと宣言しています。
これに加えて、日銀が株を買うことで株価が上がることを予想して、世界中の投資家たちも日本の上場企業の株を買いまくっています。
どんどんどんどん株価は上がっていくことが予想されます。このようになると次に考えられるのがお互いがいつ引くかを牽制し合う状態です。
日銀か投資家たちのどちらかが引いて株価が下がることが企業が恐れていることです。この株価が下がったときのことがリーマンショック以降の株価急落になるだろうと言われています。
このことから、企業は従業員の給料を上げることができないし、人材不足と言われているけど固定費を増やせないために雇用が増やせないのです。このようなことが企業の海外進出や投資や資金の内部留保の背景となっています。
これがインフレで株価は上がっているのに従業員の給料が上がらない理由です。
まとめ
インフレになってきている経済ですが、国の自作自演のため企業も給料を上げられない状態になっています。その世の中で生き抜いていくためにはやはり個人で稼いで個人で飯を食っていけるようになるしかありません。今回の記事ではその危機を感じていだだいていたら幸いです。
前編で学んだ「給料が上がらない理由」から「リストラ時代の到来」について後編では学んでいきます。まずは自己投資のための危機感を持ちましょう。
・GDPとは日本が儲けたお金のこと |
・GDPデフレーターでインフレかデフレかが分かる |
・インフレ物価高、インフレ物価安 |
・日本はインフレだが国の自作自演のために給料が上がらない |
後編はこちら week25 後編 大リストラ時代到来 |