前回は株式会社について学び、株で利益が出る仕組みについて理解しました。株式会社は代表取締役社長のものではなく株主のものです。その株主になって儲けを出していくためには「どの企業の株を買った方が良いのか」がわかる知識が必要です。
「貯金するよりは投資した方が良いというし、とりあえず株買ってみるか」ではいけません。しっかりとした知識の元、判断する必要があります。「なんとなく投資家」にならないためにも投資で大事な要素を今回は学んでいきます。
- 情報
- タイミング
- 方法
株式投資で大切なことは上記の3つです。しっかりと押さえていきましょう。
この記事から学べること ・株式投資のための情報の取り方 ・株式チャートの各用語の理解 ・投資のリスクへの目の向け方 |
目次
株式投資のための情報取得
株式投資をする上で重要な3つの情報は、市場・行動・数字です。
市場 今後伸びる市場なのか |
行動 市場獲得のためにどんな行動(事業・投資)をしているのか |
数字 その行動を数値化した時に伸び代はあるのか |
これらの情報を頭に入れた上で投資を行っていけば失敗する確率はグンと低くなります。逆に何も考えずに投資を行っている人は、失敗して搾取されてしまいます。
これらの情報は企業の経営状況がわかるIRやニュースを見れば大体把握できると言われています。知識・情報を入れて勝つ確率を上げていきましょう。
ニュースから仮説を立てる
世の中の流れやニーズからどんな企業が伸びるのかを予測する事ができます。1つ例を見ていきます。
昨今、動画市場は記事よりも楽に情報が取れるという事で色々な動画配信サービスが出てきています。このような1つのニュースを見た時大抵の人は見るだけで終わってしまいますが、株式投資のためにはここから調査と仮説を立てる事が重要です。
市場を分析してどの企業が伸びるのかの視点を持って予測を立てていきます。
競合や市場を調査して企業の成長性を分析していきます。この分析をできるかできないかが財務スキルがあるかないかになってきます。財務諸表・キャッシュフロー計算書・貸借対照表の読解が必須になります。
財務スキルについては以前にみっちりと学びました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
これらの企業分析ができると投資をする時の大きな力になります。メディアが出す他人からの情報ではなく自分でしっかりと分析した上で投資先を判断する事が必要です。
株式チャートの指標を読む
株を買う時に企業の分析が必要だという話をしましたが、その1つ1つの指標がまとめてある便利なものがあります。株式チャートといって企業とその企業の株の状態を示すものです。
これらを読めるようになるだけで勝率が上がっていきます。言葉の意味とグラフの読み方を学んでいきましょう。
week32では下記の言葉の意味と売買の判断の仕方を学んでいきます。
・EPS=1株あたりの純利益 ・PER=株価収益率 ・BPR=1株あたり純資産 ・PBR=資産対株価の正当性指標 ・ROE=自己資本利益率 |
企業の利益と資産
このチャートを見ていく時に利益と資産の理解は必須です。ここで確認しておきましょう。
税金は考えずに100万円稼いだ時の売上・コスト・利益を見ていきます。100万円稼いで30万円のコストがあったら利益として70万円残ります。この会社に残った利益が会社の資産となります。
EPS、PERは企業の利益に対しての指標、PBS、PBRは企業の資産に対しての仕様とそれぞれなっています。それぞれの用語を詳しく学んでいきしょう。
EPS
EPSとは1株あたりの純利益です。
会社の売上から原価や販管費などのコストを差し引いて残る純利益に対して、1株あたりいくらの純利益なのかを見る指標です。1000万円の純利益があって10万株発行している企業のEPSは100円になります。
EPS=純利益÷発行済株式数 |
そしてこのEPSが一株あたりの株主の儲けになると考えてしまいますが、それでは会社に利益が一向に残っていきません。そこで企業は株主総会などで株主に対しての一株あたりの還元率を決めています。1株配当という欄が株主が得られる利益になります。逆にEPSから1株あたりの配当を差し引いた額が会社に残る利益になります。
PER
PERとは会社が生み出す利益に対して今の株価が買い時なのかどうなのかを表すものです。
株価はEPSの実績も関わりますが期待値も大きく関わっていきます。PERは期待と実績の差を表している数字です。
EPSが100円、株価が2000円の企業の場合、PERは20倍になります。
1株あたりの利益が上がればPERは下がると言われています。会社が頑張って利益を生んでもそれを誰も知らないタイミングであれば、お買い得です。
逆に株価が下がればPERも下がると言われています。利益を一定的に生み出しているのに、誰も期待していない会社であればお買い得です。
PER=株価÷EPS |
日本の上場企業の場合、PERは大体15倍程度だと言われています。将来有望な業界のどは期待値が入るため高くなる傾向があります。
PER低い→割安 期待値が低いか収益率が高くなった会社 |
PER高い→割高 期待が高い会社か収益率が低くなった会社 |
BPS
BPSとは1株あたりの純資産です。
純資産が1億円で1万株発行している会社の場合BPSは1万円になります。もし企業が潰れてしまった時に1株保有しているあたり1万円が戻ってくるということになります。
BPS=純資産÷発行株式数 |
BPSが高い企業だと、安定性のある会社だと言えます。BPSが高いと大規模な天災や景気下落、為替変動によるコスト増大が発生したとしても、1株を多くの資産で支えているため倒産した時のリスクは高くありません。しかし逆にBPSが低いと一株を少ない資産で支えているためリスクが高くなると言われています。
PBR
PBRとは会社が持っている資産に対して今の株価が買い時なのかどうかを表すものです。
BPSが1万円のときの株価1万、2万、3万ではそれぞれ上記のようなPBRになります。PBR1倍は定価、2倍は通常、0.5倍で買い時となります。
しかしPBRが低いときに気をつけなければならないポイントがあります。PBRが低い時には次の2つのパターンがあります。
この場合資産が1億あったとしても、赤字によって資産が減っていっているので買ってはいけません。損してしまいます。
しかしこの企業の成長性や先行きが良好と判断されて投資家達からの資金が集まり株価が上がっていく場合、儲けることができます。
どちらにしてもしっかりと企業状態を分析して判断する必要があります。PBRが低く、なおかつその企業に将来性がある時にはその株は買い時です。株価が1倍に近づいていて財務仕様に問題がなかったらチャンスです。
ROE
ROEとは自己資本利益率です。自分の投資したお金でどれだけの利益を上げたかを表すものです。
株主から集めたお金が10億円で2億円の利益を上げた場合ROEは20%になります。
ROE=(株主資本÷当期純利益)×100 |
投資先はCFでチェック
これまで5つの言葉の意味を学んできました。それらの指標から企業の未来を予測することができてそれが儲けにつながるという話でした。
しかしそれだけでは投資のリスクを排除しきることはできません。CFの営業活動の部分を見る必要があります。
資金が多い企業があったとしても借り入れが多いだけなのかもしれません。本業でどれだけ成果を挙げているのかが投資のリスクを考える上で重要になります。
自己資本比率が50%を下回る企業は倒産のリスクが高まっていきます。自己資本比率のチェックも欠かさずしておきましょう。
未来のリターンだけに目を向けることなく現状のリスクにも目を向けていきましょう。
まとめ
・ニュースから世の中の流れを把握して市場や競合を分析する |
・株式投資で勝つ確率を上げるためにチャートを理解する |
・PERとPBRから企業の将来性を判断する |
・企業の経営状態の把握のためにPL・BS・CFを見る |
・未来のリターンだけではなく現状のリスクにも目を向ける |